卒業おめでとう
本日、第69回卒業式を行いました。
本校の卒業式では、卒業証書を受け取る前に小学校6年間の思い出や、自分を支えてくれた人々への感謝の思い、将来の夢などを一人ひとりがスピーチします。6年生の堂々とした、ときに感極まって言葉を詰まらせながらのスピーチは、見ていて胸が熱くなるものでした。
「おめでとう」と卒業証書を手渡すとき、あなたの未来が明るく幸せに満ちたものでありますように、と強く願いを込めました。
トキワ松はこれからもずっとみなさんを応援しています。
6年生のみなさん、卒業おめでとう!(校長)





卒業式式辞(一部抜粋)
(前略)
卒業生の皆さんに、これから大切にしてほしいことを三つお話します。
一つ目は、「人との関わり」です。
皆さんのよいところは、「人が好き」で、「周りの人との関わりを大切にしていること」です。
皆さんの日常には、数々のやさしさが見られました。朝、下級生と手をつないで登校したり、喧嘩が起きそうな時には間に入って止めたり、誰かが困っていたらすぐに「大丈夫?」と声をかけたりする姿。スキー教室の時、転んだ友達の元に「レスキュー隊」といって助けに駆けつけたり、入試のお手伝いでは、緊張で泣いていた幼児をみんなで励まし無事に試験に送り出したりしたこともありましたね。元気なあまりけんかや騒ぎも日常でしたが、困っている人には分け隔てなく声をかける、それが皆さんでした。
劇遊びの授業では、想像の世界にすっと入り込み、豊かな表現力を発揮していましたね。「恥ずかしがるよりもやってみよう」「もっと面白いものをつくろう」「みんなで一緒に楽しもう」という姿勢で、互いのよさを自然と引き出し合っているように見えました。皆さんのもつクリエィティブな力とチームワークは、授業の枠を超えた、無限の可能性を感じさせるものでした。
いつの時代においても、私たち人間は、他者とのつながりによって生かされ、生きる喜びや意味を見出していきます。人が好きで、人との関わりの大切さを身体で知る皆さんは、きっと、幸せな未来を切り拓いていけると信じています。
二つ目は、「今いる環境への感謝」です。
皆さんは、友達が好きで、学校が好きで、いつもトキワ松を好きでいてくれました。1年生の頃、校舎に向かって「おはよう、トキワ松!」とあいさつしたり、4年生の書き初めで「トキワ松」と書いていたりと、トキワ松への愛を多くの声や形にして届けてくれました。5・6年での学校の歴史授業でも、関心を高く持って学ぼうとする姿が心に残っています。
学園創立者である三角錫子先生が渋谷の地に学園をつくられてから108年、戦後にここ碑文谷の地で小学校が誕生してから73年、学校の歴史が絶えることなく続いてきたのは、皆さんと同じ「トキワ松が大好き」という気持ちが代々受け継がれてきたからです。
今自分がいる場所、与えられた環境、縁あって出会った仲間、その全てを大切にして感謝の思いをもつことは、自分も周りの人々にも幸せをもたらすということを、どうか忘れずにいて下さい。
三つ目は、「新しい世界に進む勇気と知恵」です。
皆さんは、6年間このトキワ松で、45人の仲間たちとともに多くの愛情を受け、大切に育まれてきました。慣れ親しんだ場所との別れには不安や恐れがあるでしょうし、これから学びを深めていけばいくほど世界の広さを思い知らされることでしょう。
三角錫子先生は、このトキワ松を「小さくともあたたかな寺子屋のよう」と語られました。江戸時代に1000を超えるほど存在したという小さな寺子屋で学んだ子どもたちは、やがて激動の時代を迎える中で、社会を担いそれぞれ活躍していきました。
皆さんも、どうか勇気をもって大きな世界へと漕ぎ出してください。「健康・感謝・親切・努力」の四つの目標の下で学んだトキワ松での日々が、知恵となり力となって、皆さんを支えてくれるでしょう。そして、新たな景色を楽しみながら、誰もが自分らしく生きられる幸せな未来のつくり手として、活躍していくことを願っています。
(後略)